ムタフカズ
MOVIE 2018/ 94 min
その創造性と映像のクオリティに惚れ込んだフランスのバンド・デシネ(コミック)作家のギヨーム“RUN”ルナールと、ゲーム・書籍など多彩なメディアで作品を発表する制作会社ANKAMAがSTUDIO4℃へラブコールを送り、海を越えたコラボレーションが実現した。
MUTAFUKAZ=ヒスパニック系ギャングのスラング(という設定の造語)で「マザーファッカーズ」を意味する原作コミックの物騒なタイトルどおり、中身も一筋縄ではいかない。失業者が路上に溢れ、カラーギャングが日夜抗争を繰り広げるL.A.のダウンタウンを舞台に、見た目はキュートなキャラクターたちが死にもの狂いの サバイバル劇を展開するバイオレンス・アクション巨編!それでいて等身大の若者たちの友情を描いた珠玉のバディムービーであり、度肝を抜くほどスケールの大きな侵略SFでもある。
そんな超エキセントリックな作品世界の映像化に、日本側の監督として白羽の矢が立ったのは、個性派アニメーターとして長年注目を集めてきた異才・西見祥示郎。『鉄コン筋クリート』のキャラクターデザイン・総作画監督、『バットマンゴッサムナイト』のエピソード監督などを経て、今回満を持して長編監督デビューを果たした。
本作では彼の驚異的ビジュアルセンスと卓抜した作画力、語り口と画作りの巧さが際立つコンテ設計、キャラクター描写へのこだわりが余すところなく発揮されている。『鉄コン』同様、美術監督・木村真二とともに創り出した架空の街“ダーク・ミート・シティ”の圧倒的ビジュアルは、本作のもうひとつの主役と言えよう。
テレビアニメでは到底表現できない過激でリアルなバイオレンス、既成概念にとらわれないキャラクター造形、一度見ただけでは把握できないほど緻密なディテール描写を追求した世界観は、いま日本で作られているどの映像作品よりも「自由」だ。すべてのリミッターを解除したアニメーションならではの快感が、ここにはある。
STORY
ここはDMC(ダーク・ミート・シティ)、犯罪者と貧乏人の吹き溜まり。この街に生まれ育ったアンジェリーノ・通称“リノ”(声:草彅剛)は、ガイコツ頭の親友ヴィンス(声:柄本時生)とボロアパートの一室に同居中。バカで臆病な友達のウィリー(声:満島真之介)も交え、3人で毎日つるんでダラダラ過ごしているが、将来の見通しはない。そんなとき、リノの残念な人生を一変させる出来事が立て続けに起こる。まず、天使のような美少女ルナにひと目惚れ。直後に遭った交通事故のせいで、人間のなかに混じった奇怪な存在の幻覚を見るようになる。さらに、謎の黒服集団や武装警官に命を狙われ、街じゅうを逃げ回る羽目に。ついに絶体絶命の危機に陥ったとき、リノはスーパーパワーに目覚め、あっという間に追手どもを血祭りに上げる!
命からがら逃げ出したリノとヴィンスは、ウィリーの手引きでギャングだらけのゲットーに身を隠すが、黒服たちは執拗に追いかけてくる。映画みたいなカーチェイスを繰り広げ、死体の山が積み上がり、真っ黒でドロドロのバケモノまで現れる。一体、何が起こってるっていうんだ!? そんなとき、リノは思いがけないところでルナと再会。しかし、それは残酷な罠だった―。
CREATOR
監督・絵コンテ: 西見祥示郎(『鉄コン筋クリート』『バットマン ゴッサムナイト』)
監督・脚本: ギヨーム“RUN”ルナール(バンド・デシネ「MUTAFUKAZ」原作者)
作画監督: 滝口禎一
美術監督: 木村真二(『鉄コン筋クリート』『STEAM BOY』)
プロデューサー: 田中栄子、アンソニー・ルー
アニメーション制作: STUDIO4℃
CAST
アンジェリーノ: 草彅 剛
ヴィンス: 柄本時生
ウィリー: 満島真之介
©ANKAMA ANIMATIONS - 2017
web site: https://mutafukaz.studio4c.co.jp/